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MBEグループ

 

 半導体レーザの材料は、半導体結晶です。フォトニック結晶は、半導体にナノテクで空気孔を空けたもので、本当の材料は“半導体結晶”です。どんな名シェフでも、腐った食材から美味しい料理を作ることが出来ません。良い半導体レーザを作るには、良い半導体結晶が必須です。
 本グループでは、良い半導体結晶を作る研究を行っています。開発するレーザでは、AlAsと言う半導体が鍵となります。AlAsは、GaAs基板結晶の上にエピタキシャル成長します。光ファイバー通信では、一般にGaAsではなくInP基板結晶上にエピタキシャル成長する発光材料が使われます。GaAs基板結晶の上にエピタキシャル成長できて光ファイバー通信にも適用可能な発光半導体としては、GaInNAs(ゲイナス)があります。GaInNAsは、近藤教授が、1995年に提案・創造した新半導体材料です。優れた特性をもっているので、世界中で研究されています。しかし、結晶成長が難しく、気難しい材料でもあります。特に、AlAs結晶上にエピタキシャル成長する場合、従来の技術では良い結晶が得られませんでした。当グループでは、その原因を解明し、対策を確立中です。また、GaInNAsは、新物質ですので未解明な物性もあります。材料を総合的に理解するために、物性研究にも注力しています。高度な物性研究には、Spring-8等の放射光施設も使用しています。
 レーザの試作に使用する半導体結晶は、研究室内で自作する場合も、外部に依頼する場合もあります。例え外部委託する場合でも、材料に対する深い知識がないと十分な結果が得られませんので、責任重大です。結晶成長の研究は、多くの予算を必要とします。また、使用する装置はとても複雑でデリケートです。よく故障します。細心の注意を払い、装置と対話しながら研究を進めています。

 

図12 結晶成長を行う分子線エピタキシ(MBE)装置: 1原子層の精度でエピタキシャル成長を行えます。もちろん、GaInNAsもAlAsも成長できます。約1億円する高価な装置です。古い装置ですが、毎年手を入れて、段々良くなってきています。我々のグループの名称は、この装置に由来しています。

 

図13 エピタキシャル成長が終わった結晶の品質を劇的に改善する魔法のランプ(アニール装置)

 

図14 結晶の構造を解析する4結晶X線回折装置: 僅か数ナノメートルの厚みの半導体層の解析も可能です。

 

図15 結晶の発光特性を調べるフォトルミネッセンス(PL)装置: ほぼ毎日使うので、簡単に扱える装置として開発しました。励起光源には高出力の赤色半導体レーザを、分光・受光系には光ファイバー入力のマルチチャンネル・スペクトロメータを使用します。

 

図16 放射光施設 Spring-8: 巨大なリング状の加速器の周辺に測定装置が配置されています。ガラス越しの写真でゴメンなさい。

 

(旧メンバー: 中矢陽介君、久保等技術専門職員、加藤正和君、Wu Shudongさん、内山正之君、東晃太朗君)

 

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