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フォトニック結晶

 

 フォトニック結晶とは、屈折率の異なる材料が周期的に並んだ構造体です。図2に、1次元、2次元および3次元のフォトニック結晶の周期構造模式図を示します。先ず、理解しやすい1次元フォトニック結晶について説明します。図において、左下から右上の方向に光が進み、1次元フォトニック結晶の周期と垂直方向に光が入射するとします。光は、屈折率差がある場所で、ある反射率を持って必ず反射されます。屈折率の異なる材料の界面が光の波長の1/4の厚さの周期で規則正しく並ぶと、つまり構造の周期が光の波長の1/2の場合、各界面からの反射光の位相がそろいます。各界面からの反射率がそれほど高くなくても、全体としては多重反射により100%に近い極めて高い反射率を実現できます。先の“はじめに”で説明した第2世代の面発光レーザの多層膜ミラーも、実は1次元フォトニック結晶です。光は、外部からフォトニック結晶内部に進入することができません。逆に、フォトニク結晶内部にある光は、外に出られず内部に閉じ込められます。

図2 1次元、2次元および3次元のフォトニック結晶の周期構造模式図

 

 

 2次元、および3次元のフォトニック結晶でも、同様な現象が起こります。一般的には、2次元や3次元の周期構造体を指してフォトニック結晶とよびます。それは、昔からある多層膜の1次元フォトニック結晶では、実現できない新しい機能を実現できるからです。2次元あるいは3次元の周期構造中に意図的に周期の無い部分を設けると、その部分は光を閉じ込める部屋(光共振器)や光が流れる道(光導波路)として働きます。それは光の波長と同程度の大きさですから、非常に小さなデバイスを作製できる可能性があります。そのため、フォトニック結晶は、現在ホットな研究トピックスになっています。
 2次元および3次元のフォトニック結晶の作製は非常に困難です。しかし、2次元フォトニック結晶は、最近の作製技術の進歩により実用化が期待されています。図3に示す様に、半導体などの高屈折率材料に周期的に深孔を掘り、屈折率が1の空気で満たせば、2次元フォトニック結晶を作製できます。実際のデバイスは3次元ですから、2次元フォトニック結晶の光を3次元で制御する必要があります。具体的には、図4に示す様に、2次元フォトニック結晶を有限の厚さのスラブ層として、その上下を空気などの低屈折率材料ではさみます。全反射効果で、光をスラブ層に閉じ込めます。

図3 2次元フォトニック結晶の例

図4 スラブ型2次元フォトニック結晶の例

 

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